地方でも、必要な専門人材とチームを組める。AI時代に「人に仕事を任せる意味」

⼭形県酒⽥市に本社を構えるイデアルファーロ株式会社。採⽤、営業事務、動画編集、経理など、それぞれの領域で専⾨性を持つ⼈材が必要になる⼀⽅、地⽅では職種ごとに適した⼈材を採⽤することが難しいという課題がありました。また、専⾨性は必要でも、⼀つひとつの業務でフルタイムの⼈材が必要なわけではありません。そこで同社が2023年から活⽤しているのがFammアシスタントオンラインです。現在では複数のアシスタントが、それぞれの専⾨性を活かしながら業務を⽀援しています。
今回は代表取締役社⻑の齋藤和哉様に、地⽅企業だからこそ感じるFammアシスタントオンラインの価値や、アシスタントが⼒を発揮するための⼯夫、さらにAI時代における「⼈に仕事を任せる意味」について伺いました。

地方だからこそ、必要な専門人材とオンラインでチームを組む


――Fammアシスタントオンラインを導入する前は、どのような課題を感じていましたか?

当社は山形県酒田市に本社があります。採用や営業事務、動画編集、経理など、それぞれの領域で専門的な人材が必要になるのですが、地方ですべての職種の専門人材を採用するのは、現実的には難しいと感じていました。地方はそもそも人が少なく、専門人材となるとさらに採用は難しくなります。加えて、専門性は必要でも、一つひとつの領域でフルタイムの人材が必要なわけではありません。正社員として採用するなら月160時間程度の仕事が必要になりますが、実際にはそこまでの業務量がない領域もあります。オンラインであれば、必要な領域ごとに、必要な時間だけ専門性を持った方に入ってもらうことができます。住んでいる地域に関係なく、それぞれの専門家とチームを組めることに大きなメリットを感じています。

――Fammアシスタントオンラインを選んだ理由は何だったのでしょうか?

以前にも同様のサービスを利用したことがありますが、その経験も踏まえて、Fammアシスタントオンラインの良さとして感じているのは、比較的少ない稼働時間から相談できる柔軟性です。専門人材が必要だからといって、すべての領域でまとまった稼働時間が必要なわけではありません。必要な業務を必要な分だけお願いできることは、当社のような地方企業にとって使いやすいと感じています。

――現在は複数のアシスタントを活用されていますが、どのように役割を分け、オンラインでの体制をつくられているのでしょうか?

採用事務や営業事務、動画編集、経理など、それぞれ異なる領域でお願いしています。一人に何でもお願いするというより、それぞれの専門性に合わせて役割を分けています。当社でも以前は紙で行っていた業務がありましたが、アシスタントがオンラインで関われるようにデジタル化してきました。デジタル化した瞬間、協力してくれる人の範囲が地域から全国へ広がります。「どう助けてほしいのか」を言葉にして、オンラインで協力できる環境をつくることが大切だと思っています。

アシスタントが動きやすい環境は、発注する側がつくる

ーー複数のアシスタントに業務を任せるうえで、特に意識していることはありますか?

大切なのは「手順」と「スケジュール」だと思っています。オンラインでは、対面のように隣で「これをお願いします」と簡単に伝えられるわけではありません。だからこそ、定例ミーティングで実際の画面を見ながら、「これはどうやっていますか?」と確認して、一緒に手順を言語化していきます。また、業務のスケジュールもできるだけ早い段階で決めます。例えば採用関連であれば、翌年度の年間予定を早めにつくって、「この時期にはこの募集を出す」と決めておきます。そうすると、アシスタントも予定を見て「そろそろ準備しましょう」と動けるようになります。最初からこちらですべてを決めるのではなく、アシスタントが入ってから一緒に年間スケジュールをつくることもあります。⾃発的に動いてもらえるように、動きやすい枠組みを発注側が設計する。スケジュールはそのための仕組みだと思っています。スケジュールが決まっていれば、お互いの都合も早めに共有できます。柔軟に働くためにも、むしろスケジュールは重要だと思います。


ーー業務を言語化してアシスタントへ伝えることは、負担にはなりませんか?

今はAIがあるので、以前よりかなり楽になったと思います。例えばオンラインミーティングを録音して、そこで話した内容を議事録にして、さらに手順化することもできます。画面を見せながら「こうやっています」と説明して、アシスタントから分からないところを質問してもらえば、そのやり取り自体が業務を整理する材料になります。当社でもAIはかなり活用していますが、これからの時代、どこかで業務を言語化することは必要になります。アシスタントに依頼するための言語化を単純なコストだとは考えていません。AIを使えば、手順化そのものも以前よりずっとやりやすくなっています。


ーー実際にアシスタントと仕事をする中で、特に価値を感じていることはありますか?

同じ人に継続して任せられることは大きいですね。単発で作業をお願いするのではなく、ミーティングを重ねながら同じ人が担当することで、業務の背景やこれまでの経緯も理解してもらえます。長く一緒に仕事をすると、「文脈と信頼」が積み重なっていきます。例えば採用業務でも、こちらが一から指示しなくても、「この求人票にはこの情報が付いていますが、今回は必要ないですか?」と提案してくれることがあります。言われたことをただ作業するのではなく、決めたゴールに向かって完了まで動いてくれることに価値を感じています。結果そのものは経営側が責任を持つべきですが、任せた仕事について、完了まで責任を持って進めてもらえることは大きいですね。


――そうした自発的な動きを引き出すために意識していることはありますか?

一つは、定例ミーティングを通じて信頼関係を積み重ねていくことです。また、アシスタントが「こうした方がいい」と思ったときに、必要な情報へすぐアクセスできる状態をつくることも意識しています。実際、アシスタントの⽅から「この運⽤はこうした⽅が良いのではないですか」と改善を提案してもらえることがあります。人材が早く立ち上がるためには、その人が動きたいと思ったタイミングで必要な情報を取れることが大切だと思っています。

 

ーーアシスタントとうまく仕事を進めるためのコツを教えてください。

三つあると思います。
一つ目は、きちんと反応すること。二つ目は、定例ミーティングを行うこと。そして三つ目は、業務をスケジューリングすることです。特に「反応する」ことは重要です。アシスタントから質問が来ているのに社内から返信がなければ、そこで仕事は止まってしまいます。アシスタントに仕事を依頼して終わりではなく、仕事を進められるように発注側もきちんと反応する。それは発注する側の責任だと思っています。業務ごとにSlackチャンネルを設けるなど、必要な情報へアクセスしやすく、コミュニケーションを取りやすい環境をつくることも意識しています。


AI時代だからこそ、「文脈と信頼」が人の価値になる

ーー今後、アシスタントにはどのようなことを期待されていますか?

これからは、より専門性の高い人材のニーズが増えていくと思っています。言語化できた単純な実行業務は、AIでできることがさらに増えていくでしょう。その中で人に仕事をお願いするのであれば、業務の背景やこれまでの経緯を理解したうえで、状況に応じて判断したり、提案したりできることがより重要になると思います。「背景の文脈はいらないから、指示だけください」という働き方では、これからはAIとの差別化が難しくなるかもしれません。長く仕事をすることで文脈を理解し、信頼が積み重なり、そこから「こうした方がいいのではないか」という提案が生まれる。そうした部分に、人と継続して仕事をする価値があると思っています。AIを使うこと自体はまったく問題ないと思っています。むしろプロセスの中ではどんどん使えばいい。業務の言語化や手順化にも使えますし、効率化できるところはAIに任せていけばいいと思います。ただ、最終的なアウトプットには人が責任を持つ必要があります。AIが出したものをそのまま相手に渡すのではなく、最後は自分の言葉で伝える。責任は人が持つべきだと思っています。
Fammアシスタントオンラインを活用する中でも、単に作業を代行してもらうだけではなく、同じアシスタントと継続して仕事をすることで、当社のことを理解してもらい、文脈と信頼が蓄積されていくことに価値を感じています。地方にいても、必要な専門性を持った人とつながり、長期的な関係を築きながら一つのチームとして仕事ができる。それが、私たちがFammアシスタントオンラインを活用する大きな意味だと思っています。


今回お話を聞いたのは・・・

イデアルファーロ株式会社
代表取締役社長 齋藤 和哉さん


■プロフィール
工学修士。医療機器メーカーでの研究開発を経て、2019年にイデアルファーロ株式会社代表取締役社長に就任。介護・障がい福祉領域で22のサービスを展開し、約110名の社員を率いる。AIケアプラン生成ソフトの開発をはじめ、経営から現場まで幅広くAI・DXを推進。現在は自社での実践をもとにAI研修・講演を行うほか、YouTube「齋藤和哉のAI・DX」(累計再⽣10万回超)でも情報を発信している。


■イデアルファーロ株式会社について

山形県酒田市を拠点に、高齢者・障がいのある方・子ども向けの介護・福祉の22のサービスを、約110名の従業員で展開。AIを活用した業務効率化やDXにも積極的に取り組む。2021年にTOHOKU DX大賞 優秀賞を受賞し、2026年には「えるぼし認定」最高位(3段階目)、「健康経営優良法人2026」の認定を取得。