ママたちが1歩を踏み出すきっかけに | 前田敦子×Timers栗城
日本の経済を支える中小企業支援サービス事業を行う株式会社中小企業のチカラが運営する「中小企業からニッポンを元気にプロジェクト」。中小企業にターゲットを絞り、12組の著名人/著名キャラクターから成る公式アンバサダーと共にブランディング、プロモーション支援など多面的なサポートを行なっている。
今回プロジェクト参加企業から、子育て世帯のライフデザインブランド「Famm(ファム)」を展開する株式会社Timersの 栗城良規取締役と、プロジェクトの公式アンバサダーである前田敦子さんとの対談が実現した。同社が提供する「Fammママ専用スクール」は、前職で子育て中のママたちの驚異的な時間生産性と責任感の高さを実感していた栗城氏が、様々なママに実際にヒアリングをしたところ、その多くがキャリアに対して悩みを抱えていることを知りスタートさせた事業である。そのスクールの実態とはどのようなものなのか。子育てと仕事を両立させている前田さんの視点も交えた対話となった。
子育て家族の理想のライフデザインに寄り添う
――栗城取締役は金融機関向けコンサルティングや事業開発、グループマネージャーなど様々な大企業での経歴を経て2016年に株式会社Timersに参画。2021年に取締役に就任しました。
前田敦子(以下、前田):なぜ栗城さんはTimersさんへ転職なさったんですか?
栗城良規取締役(以下、栗城):当時まだTimersは15人もいないような会社だったんですが、設立当初より家族をテーマにしたビジネス展開をしていることにすごく興味を持ったんです。利益主義ではなく、多くの人たちに「この会社のサービスがあって良かったね」と言ってもらえる事業を生み出していきたいという思いに心を打たれて、30歳になるという節目の歳でもあったので、スタートアップでチャレンジをしてみたいなと思い飛び込んだのが2016年ですね。
前田:そこから約5年で取締役にまで昇進って素晴らしいですね。それだけ結果を残せたということですよね?
栗城:ありがたいことに、僕が0から生み出したママさん専門のWEBデザイナー講座である「Fammスクール」の大きな成長を評価していただきました。「Famm」という子育て家族の理想のライフデザインに寄り添うブランドは創業時より展開していたので、その一環として、ほとんどのママさんが⼤きな悩みを抱えている「⼦育て」と「キャリア・成⻑」への解決策となるような、ママさん向けのスクールを開設することにしたんです。“家族”という存在は時代によって在り方が変わっていくので、それに順応したサービスを提供することで、各ご家庭がよりよく過ごすためのお手伝いができたらと思っています。
ママのポテンシャルをスキルと仕事につなげる
――FammスクールではHTML や CSS を学べるWeb デザイン、Adobe ツールなどを⽤いたグラフィックデザインや動画制作、Web マーケティングを、ライブ配信で学ぶことができます。
前田:わたしも仕事と育児を両立していますけど、やっぱり子どもが急に体調を崩したりなど融通が利かない、ほかの方に負担を掛けてしまう瞬間もたくさん出てくるので、申し訳なく思ってしまうんです。世の中のお母さんでそういう後ろめたさを感じてしまう人は少なくないけれど、こういうスクールがあると「働いてもいいんだ」「勉強してもいいんだ」と背中を押してもらえますよね。それはすごく大きな1歩を踏み出すきっかけになると思います。
栗城:いま前田さんがおっしゃったように、ママさんの中には過剰に後ろめたさを感じていたり、自己肯定感が低い方がすごく多いんですよね。でも僕からすると全然そんなことはなくて、むしろ多くのママさんは驚異的な時間生産性と責任感の高さを持ち合わせていると思うんです。
――どんなところにそれを感じましたか?
栗城:前職で100人規模の部署を統括しているときに感じましたね。それこそ保育園のお迎えなどに間に合うためには絶対にその⽇の仕事を時間までに終わらせなければいけないし、「約束は徹底的に注意深く守りたい」という責任感もお持ちだから、決められた時間内で効率的にしっかりと業務を遂⾏する⽅がほとんどなんです。僕自身その働きぶりにすごく助けられたし、安心して仕事を任せられました。世の中はどんどん⼈⼿不⾜になっている一方で、働きたいけれど育児と両立ができる⾃信のないママが多いというところに⾮常に機会損失と可能性を感じたので、ここを我々がうまくつなぎたいと思ったんですよね。
前田:となると、授業を終えられた受講生の方にお仕事を回すこともなさっているんですか?
栗城:フリーランスかつ在宅ワークの案件を卒業生に委託していますね。それはスクールを運営するうえで絶対妥協したくなかったところなんです。学ぶだけのスクールはたくさんあるので、一人でも多くのママさんたちが我々に支払った受講料をお仕事で回収できるような体制は整えたくて、現在進行形で卒業後の取引先は増やしています。それで生計を立てている方も、企業さんからスカウトがあって直接雇用が実現した方もいらっしゃいますね。ITに疎かったママさんがFammスクールで学んで、ご自身の努力の結果が企業に認められて採用されるというのは我々が思い描く理想のモデルのひとつですし、これまでに何度もそういった理想のモデルを実現した瞬間を⾒ることができています。
働くことへの悩みを解決することが、家族の幸せにつながる
――Fammサービスは学びやすいプランも魅力のひとつです。1回3時間×5 回のリアルタイムの講義を1ヶ月間で行うという1クラス8名までの短期集中型で、オンライン講座の場合は授業中にベビーシッターが来てくれる無料サービスもあります。
前田:素晴らしい!東京でもシッターさん不足と言われているのに。
栗城:信頼できる業者さんと直接契約しています。シッターさんが紹介できない地方の方にはご家族に見ていただいて、一部キャッシュバックをしていますね。子育てとの両立で続けられるか心配なママさんに「短期集中ならなんとか頑張れませんか?」という意味を込めて1ヶ月に限定したり、お客様の声を聞きながらママさんがスクールを受講するにあたり感じるであろう懸念点を1個1個徹底的に解決することで、新しいチャレンジの背中を押せるように努⼒しています。
前田:わたしは産休を半年取ったんですけど、つわりがなかったのもあって家でひとりでいろんなことを考えてしまって、全然時間が過ぎていかなかったんです。TVをつけると同業者が活躍していて「わたしはここに戻れるのかな」「この先どうなるんだろう」とどんどん不安にもなって。だからそんなときにこういうスクールに出会えていたらよかったなって思いました。
栗城:産休・育休中にスキルを身につけて、戻ったときに歓迎してもらえたとおっしゃっていた受講生の方や、将来に向けた副業や転職を見据えて学ぶ方、前田さんのように不安を抱えていたから、それを払拭するために何かに取り組みたくて受講を決めた方もいらっしゃいます。Fammスクールをきっかけに秘めていた才能が開花している方も多くて、我々もすごく刺激をいただいています。
――今後Fammスクールの規模は拡大していくのでしょうか?
栗城:色々な構想があります。例えば、子育てが落ち着いて第2の人生を考えているミドルシニア世代の方々に特化したスクールなどもあり得るでしょうし、あとは今も多くのママさんから、AIのように急速に伸びている技術の習得や資格取得の要望をいただいているので、今後そういった分野を取り入れることも検討しています。ママさんが取得しやすく(もちろん、カリキュラムに沿った一定の学習時間を確保していただく必要はありますが)、仕事につながりやすいものを厳選していければと。
前田:わたしも香りやフレグランスの勉強をしたいんですけど、資格が多すぎてどれを取ればいいのかがわからなくて、いつもそこで止まってしまうんです。Timersさんが選んだ資格なら、受講生の皆さんも安心できますよね。
栗城:学ぶ場と働く場の規模と領域を拡大していきたいですね。自分が思い描く働き方ができたり、仕事でいいパフォーマンスができると、ご⾃⾝はもちろんのこと、ご家族へもきっと良い影響があると思います。
前田:確かに仕事がうまくいっていると家庭に笑顔が増えることが多いですよね。わたしも徐々に「ママである自分も働いていいんだ」と胸を張っていけるようになって、子どもが小学校に上がったので、ちょっとほっとできるところまで来れたんです。Timersさんはメンタルをしっかりと深掘りしていらっしゃるので、ママさんも心強いと思います。
栗城:ありがとうございます。働くことへの悩みを解決することが、家族の幸せにつながるとも思うんです。今後もそういった分野に貢献していきたいですね。
栗城良規|東京⼤学経済学部卒業。株式会社野村総合研究所で経営コンサルタントとして⾦融機関向けコンサルティングに従事。株式会社DeNAで事業開発を経験後、株式会社リブセンスでは100名規模のグループマネージャーを務める。2016年、株式会社TIMERSに参画し、2021 年より取締役COOに就任。 「社会の⼆項対⽴を溶かす」というビジョンのもと、家族アルバムアプリ「Famm」や「Famm スクール」の管掌取締役として、⼦育て世帯の課題解決に挑戦。2019年に⽴ち上げた「Famm スクール」は、ベビーシッター付き・1か⽉完結型の画期的なスキルアップ⽀援で、⼤⼿メディアでも取り上げられる国内最⼤級のママ向けITスクールに成⻑。 「Famm スクール」から派⽣した法⼈向けサービスの「FammオンラインアシスタントやFamm オンラインBPO」も展開。⽉額6万円から依頼できるサービスで、ママスキルをビジネス活⽤する仕組みを構築。最新ではAIリクルーティングなど、テクノロジーと⼈材の可能性を融合させた事業を推進。 ⼦育て世帯が描く理想のライフデザイン実現のため「「働くと学ぶ」の両⽅を実現するプラットフォームを構築することで、働き⽅の多様性を実現する新しい社会づくりに邁進。
前田敦子|1991年千葉県生まれ。アイドルグループ「AKB48」の第1期生として2012年まで活動。卒業以降は、俳優としてテレビドラマや映画、舞台など多方面で活躍している。19 年に映画『旅のおわり世界のはじまり』と『町田くんの世界』で第43 回山路ふみ子映画賞女優賞を受賞。NODA・MAP 第24 回公演『フェイクスピア』(21年)で野田作品に初参加。近年の映画、ドラマ出演作に、『コンビニエンス・ストーリー』『もっと超越した所へ。』(ともに22年)、『そして僕は途方に暮れる』(2023)、『かしましめし』(2023/TX)、『一月の声に歓びを刻め』『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』(ともに24年)、『厨房のありす』(2024/NTV)、『人事の人見』(2025/CX)など。
■株式会社Timersについて
株式会社Timersは、家族アルバムアプリ「Famm」をはじめ、子育て費用の相談もできる「Famm無料撮影会」、ママが子供と一緒に通えて、育休中でもスキルアップ・キャリアアップを目指せる「Fammスクール」など、子供がいる女性向けのライフデザインサービスを複数手がけ、「日経ビジネス 未来の市場をつくる100社」にも選ばれています。従業員の50%は女性が占め、子供がいる女性・男性も活躍できるよう、ライフスタイルの多様性を受け入れた組織づくりを行っており、男性の育休取得の義務化や男女を対象にした有給育休取得制度、妊活補助や卵子精子凍結補助などの福利厚生制度も導入しています。
オフィシャルサイト:https://timers-inc.com/